スコアラーの目2012    澤 藤 隆 一

 今年度は6年生が4人しかいなかったが、トータル成績は38勝11敗と、ウエスト史上最高成績となった。6年生が良かったのはもちろんだが、下級生を含めて少数精鋭で一丸となって戦ったのが好成績につながった。キャプテン杉浦辰哉が良くチームをまとめた結果だ。小河原瞬がエースとして38勝、打っても8本塁打と59打点でトップ、打率は史上最高の.479を記録した吉田健太郎に次いで.424、吉田健太郎はウエスト初年度2001年キャプテン新井祐司の57盗塁を大幅に更新する86盗塁、記録尽くめの年となった。雄哉が当たったら勝つというジンクスの小野は大井少年ファイターズとの川合ランバー杯準決勝で矢内からレフトへ2塁打の勝利打点、絶好調のチームを破る殊勲打だった。最後は外野の守りの要となった。

■第11回ふじみ野市秋季大会決勝戦:2012年12月15日(土)亀久保小学校 勝利投手:小河原 瞬、セーブ吉田健太郎
チーム 1 2 3 4 5 6 7
大井ウエスト 3 0 1 0 0 0 0 4
大井亀少クラブ 0 0 0 3 0 0 0 3


戦況:今期は練習試合含めて4戦全敗の相手大井亀少クラブと、今期最終戦での決勝対決、泣いても笑っても6年生最後の試合である。
ウエストは終盤戦、バイオリズムが低下してきた。夏までは4割、5割の打率を残す選手が4人もいて、6年生の平均打率が4割以上、ほとんど6年生の試合に出ていて平均打率が3割以上の5年生を擁するチームだったので、快進撃していた。ところが終盤になり、吉田も打率5割を切り、小河原もホームランが影を潜め、杉浦も打率4割を切った。したがって6年生の平均打率も4割を切った。5年生の平均打率も3割を切って急降下、その不振がチームの得点能力を低下させた。この試合ウエストの作戦は序盤にドドンと打って春日投手をマウンドから下ろし、枝をマウンドに引っ張り出すことだった。内藤匠之介がファウルで粘って7球目、きれいにレフトへライナーのヒット、川井田への初球が1バウンド、枝が捕球できず後ろへ転がる、これを見て内藤2塁へ、ラッキー!さあもうこうなったらやることは決まり、川井田コツンと転がした、捕手が捕って、1塁送球、これを1塁手がポロリ、無死1、3塁、打席には吉田、3塁ランナーが居るので3塁手はベースから離れられない、それならやることは決まっている、吉田コツンとサード前へ転がした、3塁手が捕ったとき、内藤は本塁めがけてまっしぐら、間に合わない、1塁送球しようと構えたが吉田の足だから到底間に合わない、諦めて無死1、3塁、ウエスト得意の足、足、足!打席には4番小河原、ここは吉田を盗塁させるわけには行かない。1塁が空いたら敬遠される、ブンブン丸小河原はファウル、ファウル、ファウル、「力を抜け」と監督が大声、そしたら力を抜き過ぎて見逃し三振。打席には杉浦、助監督が「三振してもいいから思い切って振れ!」とトーチャン指図。思い切ってサードゴロ、2死2、3塁、ここで打席には仕事師柿沼が向かった。思い切り振った打球は力の無い打ち上げ花火みたいにフラフラと上がった、プッシューとロケットが落ちるみたいにショートの後ろ、センター前にポトリ、川井田ホームイン、吉田もちろん3塁を蹴ってホームイン、この回3点。1回裏コワイ亀少クラブの1〜4番に対し、小河原−杉浦のバッテリー真っ向勝負、長久保にはヒットを打たれたが抑えた。2回は省略。3回表吉田はピッチャーフライに倒れたが、小河原が今度はガツーンと目の覚めるような右中間ライナーの2塁打、5番杉浦も右中間に落したが小河原判断悪く3塁止まり、亀少たまらずピッチャー交代、春日から枝に、思惑通りだ。打席には仕事師柿沼、2塁が空いているのに杉浦に盗塁させない、1ボール、2ストライクから冨士川監督、出した!スクイズだ!まさかこのカウントでスクイズは無いだろう、誰しもそう考える。失敗を恐れずやるべきなのがスクイズなのだ。指示された通りに柿沼はピッチャー前に転がした、小河原は猛然と本塁へ、成功だ!恐るべき、ウエストの攻撃、興亜火災も真っ青。
 この後の守りも連投の小河原は快調に飛ばす。あまりにも描いた構図に嵌まり過ぎ、冨士川監督は、「今夜のお酒はおいしそうだなぁ〜」とルンルン。ところがこれが甘かった。4回裏亀少クラブの攻撃は3番長久保から、実は小河原は長久保とピッタリ息が合っていて、ことごとくヒットを打たれている。データから見ればワンポイント吉田で、また小河原に戻す手もあったが、ここまでのピッチングが良かったので続投させた。そしたらやはりライナーでレフト前ヒット、枝はライト前にポトリ。1死後体のデカイ6番山賀がガツンとレフトへ、名手柿沼なら捕れるだろうと思ったら、後退して、頭を越されて3ランホームラン、これはほとんど事故だな〜。1点差になって流れは亀少クラブへ・・・しかし小河原必死の投球、バックも大きな声で盛り立てる、小河原頑張れ、7番空振り三振、8番センター右へポトリのヒット、9番ショートゴロ、ふ〜〜〜。ここまで小河原62球、前の試合と通算138球、まだ小河原のスタミナなら大丈夫だろう。
 5回表川井田ショートゴロ、吉田内野安打から2盗、キャッチャーの投げた球がセンターへ抜けて3塁へ、1死で4、5番、チャンスだ!しかし小河原ショートゴロ、杉浦センターフライ、あ〜〜〜 その裏バッター1番から、ここが勝負だ。1番レフトフライ、2番ピッチャーゴロ、さあ3番長久保だ、ショートを越えて、吉田追い着いたがヒット、どうしても抑えられない、4番枝もセカンドへ内野安打、5番藤原ライトへ打ち上げた、伊藤だからこれは大丈夫、しかしこれで最終回また上位打線に回ることになった。
 6回表柿沼ショートゴロ、小野ピッチャーゴロ、矢野ストレートの四球で、パスボールの間に2塁へ、しかし伊藤ショートゴロ、どうしてこんなにショートへ打つのだろう?6回裏亀少クラブも6番から、ここは3人で切って取った小河原、ここまで85球、この日通算161球。
 7回表ウエストは1番から、ここでダメ押ししたい。しかし内藤ピッチャーフライ、川井田ショートフライ、ダメダコリャ(>_<)、泣いても笑ってももう最後の打席だろう6年生、吉田健太郎はショートのグラブを弾いてレフトへ抜けるヒット、小河原もセンターへヒット、さすが6年、気合だ〜!打席には杉浦、2塁の吉田へ投手は執拗に牽制、それでも「走れ〜!吉田、走れ〜!」とベンチから絶叫!!!この場面アウトになっても良いから、攻めに攻める気持ち、こういう強い気持ちが相手に流れを渡さないことにつながる。結果誘い出されて吉田タッチアウト、杉浦は最後の打席、打てずに終り。しかしこれで良い、守る気持ちではない。
 さあ最終回7回裏、最後の場面、初めからマウンドは吉田健太郎かと思ったが、この1年エース小河原を信頼してマウンドを任せてきた冨士川監督の信頼は揺ぎ無い、なんとなく不安を感じたら、やはり1死から宮田に打ち返され、セカンド内藤が回り込んで捕ったが安打となり、迎えた怖い石森に球が来ない、明らかに序盤の勢いのある球がなくなってドロンとした力の無い球で歩かせた、ダブルで準決勝76球、この試合は101球、計177球、迎えるは長久保3打数3安打、もはや迷うことは無い、吉田健太郎にスイッチ、これは救援投手としてはキツイ場面、だが吉田の球威の前に長久保は打ち上げる、ショート小河原、オーライ、ヨッシャー!2死だ。4番枝の当たりは強烈、しかしショートゴロだな、と思ったら反射神経の鋭い吉田健太郎がグローブを出して弾かれて打球の勢いが死んだため、小河原が捕っても投げられなかった。運動神経の良さが災いして2死満塁、簡単には終らない、1打サヨナラ負けの場面、ハラハラ、ドキドキ。しかし申し訳ないけどここまでだ、ダイジョブダー、と思っていたら、5番藤原への初球はボール、「頼むぞ、間違っても四球なんてやめてくれよ、ナムアミダブツ、アーメン」、と祈る気持ち、2球目ストライク、3球目ファウル、藤原も亀少クラブベンチの期待を一身に背負って気合を込める。そして4球目、ガツーンとライト前へライナーで良い当たり、ヤバイ!と思ったがウエストのライトは伊藤優、5年生、捕った、投げた、伊藤の送球は安定している、暴投するなどアリエナイ、その通り、矢野ような速い球がファーストへ還って来た、壮真ガッチリ掴んで、試合終了、バンザイ、バンザイ、悲願の今季初優勝、大井少年ファイターズも上福岡イーグルスも複数優勝してるのに、優勝の無いウエスト、先週もバイオリズムが悪く富士見エンゼルスに優勝をさらわれたばかり、しかしやっと、やっと、最後の最後の試合で優勝できた。2011年はこのチームが5年生のときに東入間新人戦大会で上福岡イーグルスを破って優勝した。途中雨が強くなって、唐沢小はぬかるみに足を取られるわ、ボールは滑るわの悪コンディションでの乱戦となった。逆転に次ぐ逆転で、まさに泥試合、最後はウエストがスクイズ攻勢に強打を絡めて、ゴーゴーフィーバー!それ行けワッショイ!ウエスト神掛かりの1イニング打者12人8点の大逆転、3年生まで出さざるを得ない苦しいチーム事情ながら、信頼と連帯と団結で、優勝旗を勝ち取った。2010年は良い選手が揃っていながら3位すら無い状況下、埼玉南部秋季大会で、猛打爆発1回戦からすべてコールドの猛進撃、投げては伊藤壮志の剛球と横田冬馬の超軟球で優勝した。毎年優勝旗を飾って松栄庵で忘年会をやっているのだから、この大会で優勝するしかなかった。良くやってくれた。例年通り、優勝旗を飾って松栄庵で忘年会ができた。終り良ければすべて良し、有終の美、選手の皆さん、ありがとう!
久々に2ページにわたる「スコアラーの目」になった。優勝1回、準優勝2回、第3位5回、BEST8が2回、BEST16が1回、初戦敗退が一度も無く、2回戦敗退が西部選抜大会だけ、という素晴らしい一年だった。6年生が4人しかいないチームがこんな素晴らしい成績を残せたのは何故だろう?優秀な下級生が居たということだが、4年生レギュラーの矢野壮真が怪我して休んだだけでリズムが狂い、11月4日西部選抜と南部秋季、負けるはずのない相手に1日2敗、つまり不動のオーダーでチーム一丸となった強さだったのだ。20年もスコアラーをやっていても、こういうチームは初めてだ。実に楽しい1年だった。

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